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2011年6月

2011/06/19

はじめに、エラーありき



ここに書くことが思いつかずついに15分経ってしまった





どういう巡り合わせか知らないが、このところ私の身の回りのモノが次々と壊れる。

正確には私と私の近しい人間の身の回りのモノが、だが、QuickTimeでmp4が再生できなかったり、iPod touchに同期したメールアカウントが受信しないメールがあったり、とある家の冷蔵庫も販売店を通じて「同型機種に不具合が見つかったので修理したい」旨の連絡が入った。何も異常はないのでほうっておきたいが、ほうっておくと壊れるという。

予告された以上ほうっておくとこちらの責任になるので修理に応じないわけにはいかない。

冷蔵庫の中を見られることになるので、いつ片付けようと段取りをつけていると、今度はパソコンのキーボードが突然動かなくなった。


一体、なんなのか。


苛立った私はすぐさまキーボードのメーカーに問い合わせを試みた。

パソコンに別のキーボードを接続し、インターネットでメーカーの窓口を検索すると『営業時間 月~金の9:00~18:00』の表記。

一体この営業時間内に誰が電話をするのだろうか。仕事をする気があるんだろうか。


ともあれ他に方法がないため、このためだけになんとか時間を作り電話をするとオペレーターはあっさり「寿命です」という。

購入して2年も経っていないので、それはおかしいと主張すると「保障は1年です」。


どうやら内部のパーツに寿命があり、トータルで動作を保障できるのが1年が限界、ということらしいが私は絶句した。

故障ならメーカーの責任だが、寿命となるとキーボードは天寿をまっとうしたことになり、そうなるとお悔やみを申し上げねばならない。


呆然とした私はキーボードを撫でながらしばし考えた。


機械というは、正常に働いているときは、ただの機能をもった無機物でしかない。

ところがこうして異常が発生すると思わず撫でてみたり、「おい、どうした?」と話しかけてしまう。

無機物であるはずのモノが意思を持っているような気がしてくるのである。日頃の手荒な扱いや八つ当たりに怒ったり、意地悪をしているような。モノが故障によって生き物に変わるのである。


ピーノ・アプリーレによれば、私たちがこうして生きているのも、元をただせば故障、つまりエラーのおかげである。


通常受精とは、何億匹の中で競争に勝った精子が卵子の膜を打ち破って成就するとされているが、実はそうではないらしい。卵子の中に1ヶ所、エラー(不完全な部分)があり、たまたまそこにいた精子が中に入って受精する、というのが近年わかった真実だそうだ。


生命とは、エラーの産物なのである。


そして、進化もまた然り。

DNAの完全コピーを繰り返しているだけでは、生物界はアメーバのまま。複写とエラーを積み重ねてきたからこそ、進化が起こり私たち人間も今ここにいる。

カトリックの国イタリア出身のピーノの聖書解釈によると、神に禁じられていた果実をイヴが食べてエデンを追放されることから人間の歴史が始まったのも、「エラーを犯さねば、何も始まらない」という神の啓示なのだという。


言われてみれば、日本の古事記も冒頭いきなりイザナギとイザナミの子作り失敗が記されている。

行為の際どちらが先に「ああ、いい男(女)」と言うべきかと思い悩むところから、日本人の歴史は幕を開けるのだ。古今東西、完璧なままでは何もうまれないのである。


冷蔵庫のエラーは、ユーザーの一人が庫内で大量の水をこぼし、その結果電気系統のエラーが発覚したらしい。たった1件のエラーのために、メーカーは同型の冷蔵庫すべてを巡回修理しているのだった。

「大変ですね」と、修理に来た山岡さん(仮名)に同情すると、彼は毅然とこう言った。


「私たちは、皆さんに安心してお使いいただいたいのです」


その真摯な姿勢にお茶でも出さねばと慌てているうちに修理は終わった。

「これで大丈夫ですね」と念を押すと山岡さん、

「はい。中で大量に水をこぼしたりしなければ」


結局壊れる危険性は変わらない気がしたが、ともあれエラーは修復した。限られた寿命を脅かすエラーを排除できた達成感、安堵感に包まれ、私たちはやはり冷蔵庫を愛しそうに撫でた。


我が身を振り返れば、仕事であれプライベートであれ、失敗したときほど「生きている」ことを痛感するものである。私たちはきっと、エラーなしでは生きてゆけないよう、プログラムされているのである。


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2011/06/16

ふっさふさ

最近タイトルがオヤジギャグみたいになってますが。

思いつかないんです。すいません。

多摩の果てまで行って見た際、途中で以前から気になっていた建物を通るので寄って見ることにしました。

200809_14_12_b0133412_22525932_2  

福生市庁舎です。

設計は山本理顕。

雑誌で見て以来気になっていて、わりあい近場ということもありいつか行こう行こうと言っていたのですがなかなか実現できず、ついにこの度ソロプレイ。

ご覧のとおり、福生市庁舎は執務室を中心とした第一棟と議会機能を中心とした第二棟のツインタワー構造。

これだけでもうかなり圧巻です。

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これが二棟。しかも

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丘の上に建っています。

どういうことかといいますと。

001fussa

こうなっちょります。

敷地一面に地面から続く丘が広がり、丘の広場の煉瓦の床がそのままタワーの壁に連続しています。

Photo わかりますかね。わかりづらいですかね。地形を利用して2F部分に丘が作られていて、1Fは丘に埋まった地中部分として二つのタワーをつなげている構造です。

わかりづらければ福生市役所のHPを見てみてください。

ではレビューいきます。

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南面角の広場接地部から。手前が第二棟、奥が第一棟。

タワーの構造は格子状のプレキャストコンクリートを現場打ちでつないでいるそうです。

尚チューブ構造部材の梁は階ごとに交互にすることで軸力を分散し、階が上がるにつれ格子が細くなっています。見事!!

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1階フォーラム。各種手続窓口が設置されています。
フォーラム内にタワーにも用いられているチューブ構造が現れ、インデックスパネルを持ったカウンターが配置。

照明はタスクアンビエント方式。ベースを間接照明としているため、影ができにくい柔らかな空間を作り出しています。因みに空調は床吹き出し!

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北側道路から第二棟エントランスをのぞむ。格子状の構造が丘の広場のスラブを貫通してそのままフォーラムに現れているのが分かります。格子3マスで1層ですね。

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第2棟5階廊下。開口にはアルミルーバーが取り付けられ、これで採光を調整します。

恐らく冬季や夜間はルーバーを閉め切る事で建物内の空気を保温できるものかと。

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ストラクチャーは垂直に降りるが外壁はスカート状に丘に広がり、壁と床が連続した曲面を作っています。

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丘の広場からのぞむ第一棟2F。

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同じく第二棟2F。

どちらも壁から床へ連続している煉瓦が丘の広場へ自然になじみ、公園に似た空間を作っています。

ミヤモト、特に理顕が好きなわけではないのですが、この市庁舎を見たときに「これです!」というものを感じたのです。

思うに、ヨーロッパでは庁舎は自分たちのものという意識が強いと思います。
ストックホルムの市庁舎はノーベル賞授与式に使われるような、シンボリックな場所であると同時に日常的に市民が訪れ自分たちのものだと思える建築になっているように思うのです。
それに比べて日本の庁舎はあくまで行政施設という印象が強いと思います。
東京都庁舎設計コンペ時に磯崎新が出したという案も、権威的な超高層ではなく、もっと市民に開かれた構成にすべき、という批判的なものだったといいます。
やはり市庁舎にとって大切なのは、権威の象徴ではなく市民の建物であり、かつシンボル性を持ったものであるべきなのだと思うのです。

その意味で福生市庁舎は、同じ形の建物を二つ建てるツインタワー構造でシンボル性を獲得し、敷地に公園を作るのではなく、丘の広場によって敷地を公園にしてしまうことで子供から高齢者まで自由に歩くことができる場所となっているといえるのです。

ちなみに当初は煉瓦によるスキンではなく、全面ガラスのダブルスキンでの案だったそう。
横田基地が近いことで防衛省の防音基準を満たすため断念したそうですがそれも見たかったですねえ。

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2011/06/08

多摩の果てまでイッテQ

あっちゃんに彼女ができたと聞きました。おめでとうございます。

玉川上水ってご存知ですか?

その昔、江戸幕府が市中の飲料水不足のため多摩川から支流を引っ張ってくる計画を立てました。

工事は取水元に住んでいた庄右衛門・清右衛門兄弟に任命し、奇跡の半年で多摩~四谷間を開通。その後長きに渡り江戸の民へ新鮮な飲料水が届けられ、功績をたたえられた兄弟には晴れて『玉川』の姓を名乗ることが許されたそうです。

現代ではかの太宰治が入水自殺を図ったことで有名な東京の上水道ですね。

遥か多摩の西からなんと新宿区四谷まで続くこの上水道は現在ほぼ枯れ果て使われていないものの、一部流域は東京都水道局の水道施設として現役で使用されているそうです。

今回、その玉川上水が引っ張られている取水堰まで行ってみました。

自転車で。

『多摩川をぐんぐんのぼっていくと、そのうち玉川兄弟なる人物の像が建っている』

という謎の情報を弟から手に入れたのがきっかけです。

なんだよ玉川兄弟ってww というちょっと面白そうな理由でうっかり出かけてみましたが、

これが果てない旅になるのでした。

ちなみにどのくらい遠かったかというと、

Photo

こんなです。

もう一度言いますが、

自転車です。

死ぬか思いました。

まあ死ぬ思いをしたのは途中方々へ寄り道をしたからなんですが。

旅を始めてまず寄り道したのは

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日野天満宮。

学業祈願で有名らしい、という弟の情報に興味を示して入ってみると

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まさかの交通安全。

しかも発祥の地。

こういうのってホントに発祥とかあるんでしょうか。

かなり胡散臭いんですが。

胡散臭いんですが、

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境内から入り口を見上げた景色がステキ。

入り口から参道を下って境内に行く寺社って珍しくないですか?

ふつう境内って高台にありますよね?どっちかっていうと。

ちなみに日野天満宮はなぜか

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鶏が放し飼いになってます。(笑)

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そこかしこで鶏が(笑)

鳥の楽園日野天満宮では

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鳩もご立派。

そして日野天満宮、

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突然合格ゼリーが売ってます。

…あれ?学業祈願やっぱり有名なのか??

日野天満宮を後にして、せっせと自転車を漕いでいると

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オンボロ建築発見。

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国立会館だそうです。国立競技場とかの仲間でしょうか。

絶対嘘だと思います。

途中の道で

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アルフィー高見沢邸発見。絶対嘘だと思います。

そろそろ多摩川に沿っていかないと道をロストしてしまう!

ということで、河川敷のサイクリングロードへ。

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あら絶景。

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あらステキ。

ところで、サイクリングロードって、果てなく伸びてますよね。

あれ、最後どうなってるか知ってますか?

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こうなってます。

突然終了します。

終了した後どうなるかというと

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これから舗装するの!的道路が数十メートル続いた後、

_mg_4541 あれは…

あの奥は一体どうなって…

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…民家?

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…民家ですね。

…通っていいんでしょうか。失礼いたしま~す

で、失礼いたした先には

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またもやステキビュー!

気をよくしてずんずん進んでいくと

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運動公園…ですかね。なかなかよい感じの。

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ようこそ福生市!  を超えて、

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すんごい道を進み、

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マムシに注意して

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自作レースカーのある民家を過ぎると

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玉川兄弟キターーーーーーー!!!

そして

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感動のエンディング画面です。

世界に平和が訪れた瞬間です。

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平和になった世界では子供たちが元気に水遊びをしていました。

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平和になった世界では水鳥もその姿を見せます。

しかしここから…四谷まで…。

川ひっぱるったって相当ありますよ?

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※相当ありますよ?の図解

【おまけ】

自作レースカーの全貌。

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